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登録済証を廃止し,国債と同様に登録済通知書(登録完了の単なるお知らせ)を発行するだけとし,名義移転等の登録請求をオンライン化することで決済の迅速化を図り,日銀ネットと接続してDVPを実現し,併せて10日決済からローリング決済に変えることが求められていた。
そこで,1997年の政省令改正で,社債等の決済で登録済証を不要としたほか,オンライン端末による電子的な移転登録請求を認め,登録簿も電子ファイルに変えることを認めた。 また,1996年には市場関係者の出資により,取引当事者等と登録機関および日本銀行を結ぶオンライン・ネットワークを運営する株式会社債券ネットワークが設立され,登録請求のオンライン化が図られ,97年12月オンライン・システム(JBネット)が稼働した。当初からローリング決済(T+7,その後T+T,T+3と徐々に短縮されており,現在はT+1に向けて検討中),98年4月から日銀ネットとの間のDVPが稼動した。
こうした一連の改革により,社債等の受渡し・決済が迅速化されて決済リスクが軽減された。 なお,登録機関や投資家の多くはすでに債券ネットワークに参加しているものの,未だ参加していない先との間の取引は書面取引のままオンライン化されておらず,債券ネットワークを利用してオンライン請求を行うことが可能な事務も限られていた(移転登録と応募者登録のみ)。
また,このオンライン・システムは登録制度に依拠したものであり,主要国で主流となっている振替決済制度はまだ一部しか導入されていなかった。 そのため,後述する社債等振替法が2003年1月から施行され(後述〔4〕参照),これに伴い社債登録法は5年以内に廃止することとなった。

証券取引所に上場されている売買取引の決済は,所定の決済日に集中決済と呼ばれる方法に従って証券と代金の授受が行われる。 集中決済とは,同一決済日における同一会員の同一銘柄の売りと買いを相殺し,その差引分だけを受け渡すことで全体の決済を完了させる方法をいう。
たとえば,元の取引が図のように行われた場合(数字は株数),差引株数はA会員が30の買い,B会員は差引ゼロ,C会員は20の売り,D会員は10の売りであるから,取引所はこれを素早く計算してC,D両会員からA会員にそれぞれ20,10ずつ証券を受け渡すよう指示する。 この際,A会員の売買約定の相手方がC会員やD会員である必要はない。
一方,株券等の保管・受渡し事務を効率化・合理化するために,1971年以降,証券を実際に授受する代わりに口座振替によって決済する振替決済制度が採用されている。 発足当初,振替決済制度は当事者間契約によるものであったため,株主の権利保護の法的裏付けが乏しく,新たな立法的手当てが必要だとする認識が高まった。
そのため,1984年に「株券等の保管及び振替に関する法律」が制定され,同年,同法に基づく保管振替機関として財団法人証券保管振替機構が設立され,1991年から事業を開始し,わが国唯一の保管振替機関となっている(現在は株式会社)。 ここでの株券は,@保管振替機関に集中保管され,A株券の受渡しを券面そのものの授受に代えて保管振替機関に設けられた口座間の振替によって処理され,B株券所有者は有価証券を保管振替機関に預託したままで権利を行使することができる(保管振替制度)。
では,証券保管振替機構の口座振替の仕組みについて簡単にみてみよう。 まず,甲証券会社の顧客Aがある株式を100株買い,乙証券会社の顧客Bが同じ株式を100株売る場合を考える。
各々の顧客と証券会社との間では, 100株分の代金と預り証のやりとりがなされ,甲証券会社の顧客A口座は+100,乙証券会社の顧客B口座は-100となる。 これで顧客と証券会社との決済(payment)は終了する。
そこで,次に甲証券会社と乙証券会社との間の決済(settlement)を見てみよう。 甲証券会社と乙証券会社は証券取引所に各々100株分の買付けと代金の支払,および100株分の株式の売付けと代金の受領を行うが,その際,間に入った証券取引所は証券保管振替機構の参加者口座の振替を証券保管振替機構に請求する。
証券保管振替機構では現物株式を参加者である証券会社から預かり,証券の移動を参加者口座の振替によって行うことによって迅速な事務処理や現物株式の保管コストの削減等に寄与している。 株券は,株主が承諾または請求することによって証券保管振替機構に預託され,集中管理されるが,そこで預託された株券は,参加者ごとあるいは顧客ごとに分別しないで混合して保管(混蔵保管)される。
なお,顧客が顧客口座を開設していない場合には現物証券による受渡しが行われる。 さらに,流通の円滑化と株主権行使に資するため,実質株主制度が設けられている。
すなわち,証券保管振替機構は,流通円滑化のため,預託を受けた株券をすべて機構名義に書き換える。 一方,その背後にいる多数の実質株主がきちんと配当や新株引受権等の権利を受け,株主総会の議決権を行使できる必要がある。

そこで機構は,株券の発行会社が定める一定期日における実質株主の氏名,住所,株式数等を参加者からの報告に基づいて発行会社に通知し,この通知をもとに発行会社が実質株主名簿を発行し,これが株主名簿と同一の効力を有することとなっている。 さらに,株式決済のDVP化については,2001年5月より東京証券取引所と大阪証券取引所が導入したが,証券保管振替機構においても2003年度中の導入に向けた検討が進んでいる。
国債,社債,株式等の証券決済システムは金融資本市場の重要なインフラであるが,それを支える法的環境の整備も重要である。 特に,当事者間で証券の券面を物理的に移動せずに権利の移転を伴う証券決済のペーパーレス化は世界中で盛んに行われており,こうしたペーパーレス化された証券決済取引の発展を支え,その権利義務関係を明確化することはきわめて重要と考えられている。
日本の証券決済のペーパーレス化法制は,すでに見たように@券面の存在を前提とした上で,混蔵保管の法理を用いた振替決済制度(国債振決,株式)とA券面を発行せずに登録機関による登録を権利移転の対抗要件とする登録制度(国債登録,社債)によってなされてきたが,金融法委員会は2000年4月3日に「『証券の振替決済にかかる法制に関する中間論点整理』について」という報告書を公表し,以下のような問題点と提言を行っている。 まず,日本の現在の法制における問題点としては,@証券の種類によって法律が異なるため利用しづらく,ペーパーレス化の新しいニーズに対応しにくい点,A振替決済制度の法律構成で混蔵保管の法理を用いるため,券面の存在を前提とせざるを得なくなる点,Bその結果,アメリカやフランス等で認められているペーパーレス証券を発行できない点,C国際的なペーパーレス証券取引の準拠法について国際私法上の規定が十分対応できない点を挙げ,ペーパーレス化された証券を正面から認めるべく立法提言を行っている。


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